★自然のバランスは常に変化しているようだ

《奄美大島で聞いた動物たちの増殖減少の波》

昨年秋、ご縁があって鹿児島県の奄美大島に3日間ほど滞在させていただきました。

地場の有機栽培農家さんにお会いしたり、さとうきび畑を見て回ったり、観光地や奄美のグルメをいただいたりと、充実した時間を過ごさせていただいたのですが、私がわがままを言って連れて行っていただいたところがあります。

それは、奄美野生生物保護センターです。

環境省さんが管轄する施設で、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミなどの固有種の研究などをされていようでした。

そこに行って聞きたかったのが、野生動物の生態系について。

島の中で、固有種として生き残るには、生態系に共存する法則や自然のシステムがあるはずで、それを少しでも理解できれば、私たちがやるべき農業の在り方のヒントが見つかると思って、お話を伺いにいきました。

ちょうど、環境省の学芸員がいらっしゃったので、忙しいところ捕まえて、立ち話で30分以上質問攻めにしてきました。

国指定天然記念物のアマミノクロウサギも農作物を荒らすので、農家さんは、自分の営農も大切だし、自然保護も大切だしということで、葛藤しながらも柵をつけるなどの対策に追われているという現状があるそうです。

そのような話の中で、人の手による開墾などで、アマミノクロウサギは激減してきたのですか?と聞くと、確かにそういう面はあるが、調べていくと実は、人が増える前から、何度か激減した時代があったのだそうです。

それは、人の手にかからなくても、島の生態系の中で増殖と減少を繰り返してきていて、それも含めて自然な生態系の流れなのだと思うと、その学芸員さんはおっしゃっていました。

そこで”はっ”と気付いたのが、私は自然のバランスというのを、ベタ凪(ほとんど波が立っていない様子)をイメージしていたことです。

でも、そうではないのかもしれない。

大なり小なりの複雑な波が常に巻き起こっているのが自然であり、それこそがバランスの取れた状態なのだということかもしれない、と気付いたのです。

《波がわかれば、理解できる自然の流れ》

一年の中でも虫や病気が大発生する波があって、それも次第に引いたり、毎年毎年虫の出方や病気の発生の範囲が変わったり、草花の勢力図が変化したり、大なり小なりの波の中でバランスを整えているのが自然なのかもしれない。

それが自然なのだとしたら、その波を力づくで止めようとしたり、コントロールしようとすることは、余計に別な波を立ててしまうことになりかねない。

また、調和された波だったのを、アンバランスに変えてしまうということだったのかもしれない。

そう考えると、畑での出来事の多くに納得のいく答えが返ってきます。

・いっとき大発生したコガネムシが瞬く間にいなくなること、
・カマキリやアシナガバチなどの肉食昆虫の孵化が、草食昆虫の大発生のちょっと後のタイミングになっていること、
・飛翔する虫の捕食者がその虫の発生初期にしか飛来しない渡鳥であること、
・ネズミの繁殖のピークが、草がないか、草丈が低い春(3〜5月)と、草の勢いが落ち着いた秋(9〜11月)で、いずれも猛禽類に捕食されやすい時期であること。

などなど、作物を食害する虫たちの大発生時期の前後に捕食者が現れて、抑制してくれていることに納得ができます。

このタイミングを逃したり、捕食者を不在にしてしまうと、作物に大ダメージが与えられる。

そう考えると、絶妙に設計された波を壊さず、多少の食害を受け入れ、必要最低限の介入が自然栽培のポイントになると思いました。

《畑は不自然、だから放置では解決できない課題がたくさんある》

ただ『自然に任せる』とできない理由があるのですが、それは【畑は、人が作った不自然な空間である】という前提があることです。

その前提を忘れてしまうと、手をかけない方が良いとしてしまいがちなのですが、自然のバランスや波のサイクルが壊れているので、どこかに手を掛けないと自然のバランスを取り戻せないと考えます。

大きな波を、大損害にならない程度の小さな波にして、その波に揺られながら、波の乗りながら、抗わず営農させてもらう。

人が作った「不自然」を「自然の波に調和させる」ことを意識して、手を掛けるポイントを見極めて行こうと思います。

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